05313-181109 民法の授業が「すごい面白い」理由
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慶應義塾大学SFCで「民法演習」の授業後、帰国子女の学生曰く
「この授業受けるまであんまり期待していなかったんですけど、すごい面白いです。基本的に他の授業は「前の週、何話してたんだっけ」って思い返すとあんま覚えてなかったりするんですけど、この授業はすごい面白くて、日本語わからなくてもわかりやすいです」
と。
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日本の小学校から高校まで、「国語」や「現代文」の授業では、例えば「この時筆者はどんな気持ちだったでしょうか」みたいに、「言外のメッセージ」を問われることが多い印象があります。明示的に書かれていない内容をくみ取る。「忖度」につながる思考様式が形成されそうです。
でも、まずもって身につけるべきは「書いてあること」を正確に読み取る力であるはず。そして、自分が伝えたいメッセージを正確に言語表現するスキルであるはず。
shio.iconの授業はそれを目指しています。法律の条文を使って、書かれた文章の意義を書かれているままに読み取る力の涵養です。
そのために必要なのは「語彙」と「文法」。特に文法は、学生たち、英文法を中学高校、大学受験で学ぶけれど、日本語文法がおろそか。基礎的な文法をわきまえれば、条文は読める。ほとんどの条文は文法的に優れて厳密に、誤読が生じないよう組み立てられていますから。
shio.iconの授業は民法でも著作権法でも、(法律語の語彙は当然として)いわば「文法」の授業です。授業で扱うすべての条文について文法的に解析しながら、「条文の読み方」、「条文の使い方」、および「法的三段論法」を訓練します。学生たちが日本語文法を使って条文を読み解き、使える道具として身につけ、法的三段論法に応用するスキルを磨きます。
毎回の授業中、学生たちは繰り返し繰り返し「条文を文法的に正確に読み取り、条文から考える」を実践します。次第にそのくせがついていきます。今日における法学の「授業」は、そのような実践の繰り返しにこそ価値があると思うのです。
緻密かつ論理的な言語操作は面白い。
学生が「すごい面白い」と感じるゆえんはその辺りにあるのではないでしょうか。
法律って面白い。それを伝えたくて、教員を続けております。
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